破産手続中の会社の株式を相続により取得し、その相続税を納付した後、その株主として残余財産分配金を取得した場合、同分配金に係る所得のうち資本金の額を除いた分を所得税法25条1項3号のみなし配当金として配当所得の金額に計上して所得税の確定申告をする必要があります。
しかし、このみなし配当金に係る所得部分は、同法9条1項16号の規定(本件非課税規定)により所得税が課されないことにもなりそうです。
しかしながら、みなし配当金は、所得税の課税対象となるものとされています(大阪高判平成28年1月12日)。
その理由として、そのように解釈することは、所得税法60条が、事業所得、山林所得、譲渡所得及び雑所得の金額の計算について、相続等がされた場合は、その者(相続であれば相続人)が引き続きこれを所有していたものとみなすとして課税の繰延べを定め、平成23年法律第82号による改正により設けられた同法67条の4が、利子所得、配当所得、一時所得及び雑所得の基因となる資産を相続等で取得した場合について、原則として同様に取り扱う旨定めたことからも、所得税法が予定した合理的解釈であると裏付けられるものであるとしています。