不動産相続の場合、財産評価基本通達によって通常不動産の相続税評価額は時価より低めに算定されます。しかしこれは、不動産自体が相続の対象になった場合です。つまり、不動産の売買契約が済み、引渡し前に相続が発生した場合は、相続財産は売買代金請求権(買主の場合は引渡請求権)となり、この場合の評価は、その契約上の額面金額になります。過少申告にならないためには、この点を間違わないようにする必要があります。さらに、この場合、契約日以降に相続が開始されているため、譲渡所得の計算も、(A)被相続人の純確定申告で行うか(譲渡日=契約日)、(B)相続人の確定申告で行うか(譲渡日=引渡日)、問題になります。そのいずれであるかによって、①申告期限(A=翌年の3月15日、B=相続開始日の翌日から4か月)、②相続税の債務控除(Aの場合は相続税の計算で債務控除できます。)、③取得費特例(Bの場合は特例を使えます。)で違いが生じますので、ご注意ください。