相続分の譲渡に課税はされるのか

相続分の譲渡は、税法上も贈与とはされていません。

これは、相続税法は、各共同相続人が現実に取得した財産の価格(未分割の遺産の場合は民法900条ないし904条の規定及び共同相続人間で相続分の譲渡があった場合における当該譲渡の結果定まる相続分)に応じて相続税を課すことを原則としていることから、上記価格が定まる過程で行われた相続分の譲渡による相続分の割合の変動そのものに課税すれば二重課税の問題が生じるため、相続分の譲渡自体を課税対象としなかったものと解されます。

したがって、無償の相続分の譲渡が贈与税の課税対象となっていないからといって、相続分の譲渡が遺留分減殺の対象となる贈与に当たらない根拠にはなりません(最判平成30年10月19日)。