相続税申告において配偶者の税額軽減を適用しないことによる節税方法

夫が死亡し,相続人が妻と子供達のような相続(第一次相続とします。)では,配偶者の税額軽減(相続税法19条の2第1項)を利用するため,配偶者が1/2を相続するのはよくある遺産分割です。ところが,父親の死亡直後に母親が相次いで亡くなった場合(第二次相続といいます。),第一次相続では母親が遺産の全てを相続し,また配偶者の税額軽減の適用を受けずに相続税申告する方法が,第一次相続・第二次相続を通じて相続税総額を最小になることがあります。このようになるには、①第一次相続での相続税については,第二次相続時に未納であれば債務控除の対象になること(相続税法13条・14条),②相次相続控除(相続税法20条)により税額控除を受けられること、③夫・妻共に最高税率(当時は60%)が適用されること、といった前提があります。相続人が相続・遺贈によって財産を取得した場合(第二次相続),その相続における被相続人が,相続開始前10年以内に開始されていた相続(第一次相続)によって財産を取得し,相続税を課せられていれば,第二次相続における相続人の相続税額から,相次相続控除として一定の金額が控除されます。これにより、第一次相続における相続税の全額が,第二次相続での相続税額から控除することができる場合があります。このように相続税の計算においては、相次相続を見据えて計画を立てることが必要になります。