遺産分割の長期化と税務上の特例

相続税の申告期限までに遺産分割が間に合わないという場合、とりあえず未分割として法定相続分に従って申告し、遺産分割協議成立後に、(法定相続分と異なる場合は)実際の分割割合で更正の請求をする必要があります(相続税法55条、32条1項1号)。

ところで、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を利用したいのに、遺産分割が長期化し、申告期限までに分割が難しいという場合は、「申告期限後3年以内の分割見込み書」を提出しなければなりません(相続税法施行規則1の6)。

遺産分割がこの3年以内に決着が付けばよろしいですが、やむを得ない事情があり、これも難しいという場合は、申告期限後3年2か月以内に訴え等の提起を行い、税務署長の承認を受ける必要があります(相続税法19条の2)。 申告担当税理士と訴訟担当弁護士がよほど協調していない限り、この制度自体を失念してしまいますので、ご注意ください。