被相続人が公正証書遺言によって同族会社に不動産を遺贈したとします。この場合、法人は相続税の納税義務者ではないので,相続税は課税されません(相続税法1条の3)が、普通法人は受贈益に対して課税されます(法人税法22条2項)。ただし、遺贈を受けた同族会社には多額の青色欠損金が残っている状態であれば,受贈益に対する課税所得が生じません。
しかし、遺贈者は遺贈財産を時価で譲渡したものと見なされ,所得税を課税されます(法人への無償譲渡に対する「みなし譲渡」課税。所得税法59条1項1号)。これを看過すると、準確定申告(所得税法124条・125条)により多額な譲渡所得税が生じることになります。
このように、思いもよらないところで課税されてしまうこともありますので、ご注意ください。