同族会社に対する不動産の低額譲渡

個人が法人に対して不動産を時価の半額以下で譲渡する場合は、贈与税や法人税の問題があります。よって、不動産の鑑定において時価を判定し、その半額以上で対価を設定することが必要となります。もっとも、時価の半額以上でも問題になることはあります。それが、同族会社の行為計算否認という規定による税務署長による否認です(所得税法157条1項)。

これは、譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、法第59条1項2号の規定の適用はないものの、時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が所得税法157条(同族会社等の行為又は計算の否認)の規定に該当する場合には、同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により譲渡所得の金額を計算することができるというものです(所得税基本通達59-3)。

よって、このようなことから、同族会社間での不動産売買の場合、不動産価格について不動産鑑定を行うことが必須となります。