代償分割の課税関係

取得価額の引継ぎ

遺産分割において、代償分割がなされることがあります。代償分割とは、相続人Aがある遺産を取得する代わりに、相続人Bに対して相続人Aが債務を負担するという方法です。この場合、まず相続人Aは被相続人の取得価額を引き継ぎますので、代償分割により負担した債務に相当する金額は、当該債務を負担した者(A)が当該代償分割に係る相続により取得した資産の取得費には算入されません(所得税基本通達38-7)。よって、被相続人の当該遺産の取得費が100万円であれば、代償分割で負担した債務が200万円(通常は代償分割の対象となる財産の時価と同額)でも、取得価額は100万円であって、負担した債務である200万円は100万円に別途加算されません。

譲渡所得税

また、AがBに対して負担した債務の履行に当たり、不動産等の資産を譲渡した場合には、Aに譲渡所得税が課されます。この場合、時価(通常は債務を同じ額。上の例では200万円)で譲渡したものとして、課税されます。このように遺産分割による譲渡であっても、資産の譲渡であることにかわりなく、所得税法上は譲渡所得が課されますので、ご注意ください。

取得費

一方、Bの代償分割に係る資産の取得費については、代償分割により債務を負担した者(A)から当該債務の履行として取得した資産は、その履行があった時においてその時の価額(つまり時価。上の例では200万円)により取得したこととなります(所得税基本通達38-7)。